1.音の識別意識
言葉において「音」というのは、とても重要です。
しかし、日本人が英語を学ぶ過程において、ある問題が生じています。
みなさんは、「同じ英単語を、時によって違う発音をしている」
という状況に出会ったことがないでしょうか?
英語は「ア」だけでも何種類もあるような言語ですので、
「なんとなくこういう発音だった気がする」ですとか、
「どういう音だったっけ?」という状態で発音すると必ずそうなります。
なぜでしょう?「英語は音の数が多いから覚えてない」とか
「物理的に発音自体が難しいから」
という理由で片付けてしまう手もありますが、よく考えると、
そういったことはおかしいことがわかります。
ちょっと話を変えてみましょう。
よく、英語のアルファベットは日本語の「ひらがな」に対応する、
と思っている場合がありますが、そこには違いがあります。
まず、「ひらがな」は、一つの文字に対して原則的に一つの読みかたしかありません。
(1:1だからこそ、「よみがな」の機能を同時に果たす事ができるのです)
しかし、アルファベットは、一つの文字に対して一つの読み方ではありません。
例えば、「 a 」を考えてみましょう。「an」,「park」,「April」,などのように、
英単語中のaは、「ア」「エイ」「ァ」「ェァ」といったように、
1つの文字で何種類もの読み方があります。
したがって、「アルファベットの並び」は、「ひらがなの並び」ではなく、
音の対応関係でいえば日本語でいう「漢字」に近いのです。
2.文章文字と発音記号
なぜそのような点をスルーしてしまっているかと考えると、そこに
日本語と英語の意識の差があります。
我々にとっては当たり前すぎるので意識されませんが、
日本語は、音を表す記号というのを特別にはもちません。
文章を表記するための文字である「ひらがな」や「かたかな」が
そのまま「よみがな」になっているためです。
しかし、英語ではどうでしょう。
英語のアルファベットは、前述したように複数の読み方があるため、
日本語のひらがなのようにそのまま発音の「よみがな」にすることはできません。
文字と音の1:1になるものが別に必要であり、それが〔発音記号〕です。
文章を表記するため文字とは別に、専用の記号として存在しています。
この意識差が、重要な情報がどこなのかを見えなくしているのです。
3.音を識別せずに単語を覚えるということ
前述の性質をふまえると、「英語の発音記号が読めない」
というのは、日本語でいう「よみがな(ひらがな)が読めない」
事と同じですね。
「あいうえお」を全部覚えようとせず、
「あ」と「え」が同じ発音だと思っているのに、問題としない。
そんな状態で単語を覚えるという手順は、
「外国人が、よみがなを曖昧にしたままで、漢字を覚える」
というのと同様な性質を持っています。
我々日本人ですら、「読めない漢字」を覚えることは難しいですよね。
「はっきりと音をイメージできないもの」は、まともな記憶にはなりません。
我々が漢字を覚える前によみがなであるひらがなを覚えるように、
まず英語の「よみがな」である〔発音記号〕と対応する音を明確に覚え、
「音のイメージがはっきりあり、いつでも同じ発音ができる」
というレベルで記憶するのが必要と考えます。
(ただし、意味の記憶と引き出しスピードの面では
同時にイメージ・感情の手法が必要と考えます)